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働き方改革関連法の施行について ―②年5日の年次有給休暇の確実な取得―

弁護士 羽場知世

働き方改革関連法に関する第2回目の情報配信をさせていただきます。今回のトピックは年5日の年次有給休暇の確実な取得です。

改正の概要

1. 概要

これまでは年次有給休暇の取得は労働者の判断に任されており、使用者に取得させる義務はありませんでした。しかし、労働基準法の改正により、すべての企業において、一定の労働者について、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日を時季を指定して取得させることが義務付けられました。

2. 対象となる労働者

法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の労働者(いわゆる管理職(管理監督者)や有期雇用労働者も含まれます。)。

なお、既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者による時季指定をする必要はなく、また、することもできません。

※原則となる付与日数(所定労働日数が少ない労働者は別途基準がございます。)

(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」より)

3. 時季指定の方法

使用者は、時季指定に当たり、労働者の意見を聴取した上で、できる限り労働者の希望に沿った時季指定になるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければなりません

4.年次有給休暇管理簿の作成義務付け

使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿(年次有給休暇の時季、日数及び基準日を記載したもの)を作成し、3年間保存しなければなりません。

5. 就業規則への規定の義務付け

使用者が年次有給休暇の時季指定を実施する場合、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法を就業規則に記載しなければなりません。

6. 罰則

上記の各規制に違反した場合については、罰金等の罰則が定められています。

(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」より)

施行日

2019年4月1日

実務上の留意点

労働者ごとに入社日が異なり、年次有給休暇の付与日が異なる場合、誰がいつまでに年次有給休暇を5日取得しなければならないかについて、細やかな管理が必要となります。そこで、年次有給休暇の付与日を1つにまとめる(例:1月1日や4月1日に一斉付与する)等により、基準日を統一することも考えられます。

改正内容の詳細については、以下の厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署発表のリーフレットをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

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